緊張性頭痛とは

頭痛の80%は緊張性頭痛

「緊張性頭痛」はあまり聞き馴染みのない頭痛だと思われますが、実は頭痛でお悩みの方の80%は緊張性頭痛だと言われているほど多く見られる頭痛の原因です。「緊張性」とは首や肩の筋肉が過剰に緊張することを指し、それにより生じる頭痛を緊張性頭痛と呼びます。

緊張性頭痛は鈍い痛みや締め付け感を感じるものの、日常生活が困難になるほどの強い痛みを生じることはあまりありません。また、朝よりも夕方以降に発生しやすく、マッサージや入浴などで一時的に症状が軽くなる傾向にあります。温めることや頭痛薬で一時的な効果が出やすい頭痛ですので、根本的に改善しようとしない方が多い頭痛でもあります。最近ではスマホやPCの普及に伴い、首や肩に対する負担が増大したことで、緊張型頭痛を訴える患者も増加傾向にあります。

緊張性頭痛のメカニズム

  1. 頭や肩が前方に変位することで頸部・肩の筋肉が緊張
  2. 肩や首の筋肉が慢性的に緊張することで筋肉内の毛細血管が圧迫
  3. 慢性的に血管が圧迫されるため血液循環が悪化する
  4. 血液の循環を改善させるために血管を拡張する物質が分泌
  5. 血管を拡張する物質には発痛物質があり頭痛の原因になる

筋肉が緊張する原因

上記でも述べたように肩や首の筋肉が緊張する背景にはPCやスマホの普及による姿勢の問題が大きく関与しています。しかし、それ以外にも精神的な問題が原因で肩や首の筋肉を緊張させることがあります。

①身体的ストレス

身体的なストレスとは普段の姿勢やPC・スマホ使用時の姿勢での力学的な肩や首の筋肉へのストレスです。また、顎関節の問題や骨盤の歪みからも力学的なストレスとなります。最近は特にPCやスマホの普及に伴い、慢性的な筋肉へのストレスが増大しています。しかし、一概に使用すること自体が悪いのではありません。同じような仕事内容の方でも頭痛を感じない方もいます。普段の姿勢やPC・スマホ使用時の姿勢での頭部や肩を適切な位置にできるだけでも過剰な負担は軽減することが可能です。

理想的な頭部・肩の位置

頭部や肩の位置に絶対的な正解はありませんが、解剖学・力学的に最も負担の少ない姿勢はあります。負担が少なくなることだけでも緊張性頭痛の改善に繋がる方もいます。頭部は一般的に5〜6㎏程度になり、首の前方への湾曲(わんきょく)によって衝撃吸収が行われています。頭部が前方に変位すればそれに比例して湾曲もなくなり衝撃吸収が難しくなり、その分の負担を首や肩の筋肉で補います。頭部が解剖学・力学的に正しい位置から1インチ(2.54㎝)前方に変位することで、首や肩には4.5㎏もの負担がかかると言われています。PCやスマホを使用している時の頭部の位置は平均で通常より6〜8㎝も前方に変位することが多いため、13㎏もの余計な負荷が首や肩の筋肉にかかります。この状態で使用を続けることで、首や肩の筋肉は過剰に緊張し緊張性頭痛に繋がります。

また肩の位置も非常に重要です。腕は片側で3㎏、両腕で6㎏程度あり、肩はこの重さを支える安定性と腕を自由に使うための運動性を両立する必要があり、普段から負荷が高い部位でもあります。肩は耳の穴との垂直線上にあることが最も負荷が少ないと言われています。腕が前方に変位するほど、腕の重さは首や肩の筋肉に負担をかけます。ちょっとしたダンベルほどの重さが常に肩や首にかかっていれば、おのずと筋肉も過剰に緊張します

②精神的なストレス

意外に思われるかもしれませんが、身体的な過剰なストレスがなくとも、精神的なストレスが原因で緊張性の頭痛を発症することがあります。仕事などにより過剰なストレスに晒され続けることで自立神経のバランスが崩れます。自律神経は交感神経と副交感神経の総称になり、交感神経は本来「闘争」「逃走」を司る神経と言われているため、血管の収縮や汗腺の刺激、内臓器のコントロールを行います。交感神経側に慢性的に偏り続けると、血管の収縮が長期化し、内臓器の働きも抑制されてしまうことから血流の循環が悪化します。精神的なストレスが原因で緊張性の頭痛を発症する方は完璧主義などの傾向にあることが多く、随伴症状としてめまいや耳鳴りを訴えることも多いです。自律神経は脳から各器官に行く途中に背骨を介します。そのため、背骨を調整するカイロプラクティック治療は自立神経が不安定で生じる症状に対して非常に有効です。

緊張性頭痛のカイロ施術

緊張性頭痛は肩や首の筋肉が過剰に緊張することで発症し、筋肉の緊張度が低下することで症状の改善に繋がります。そのため、マッサージや入浴でも一時的に筋肉を緩和することで症状も落ち着きます。しかし、過剰に緊張している原因を取り除かなければ、根本の解決ではありません。カイロプラクティック施術ではまず何が緊張性頭痛の原因になっているのかを問診・検査で判断します。割り出した原因に対して適切な施術を加えていきますので、原因によっては施術部位や方法も異なります。原因の一つに環境というのもあります。これは普段使用しているPCのマウスやディスプレイ、デスクの位置、椅子の高さなどの環境が要因として体の傾きの原因になりますので、それらのアドバイスも行っていきます。適切な治療を行えれば緊張性頭痛は早期改善も見込まれ、普段の軽いケアや月に1度程度のメンテナンスでも十分症状を落ち着かせることが可能です。緊張性頭痛に対してカイロプラクティック治療は非常に有効な選択肢の一つですので、繰り返し頭痛に悩まされていたり、薬の服用でごまかしている方は一度カイロプラクティック治療をお勧め致します。

頭痛に対してのカイロ研究

アメリカにおいて緊張性頭痛患者150人に対し、カイロプラクティック治療と血管収縮剤(アミトリプチリン剤)の治療効果を比較した研究があり、カイロプラクティック治療の効果が優位という研究結果もあります。